渦 電 流
おっさんHobby
趣味の工作で出会った渦電流の話です。
磁石を利用して動力を伝えるマグネットカップリングを作っていたが、うず電流で失敗し作り直すこととなった。
磁石を張り付けた円盤を2個回転できるようにして、お互いを向かい合わせて片方を回せば反対側の円盤も磁石の力で回転する。
水中のスクリューを回すために一から試行錯誤して作ったが、すでに昔から実用化されていた。
マグネットカップリングと呼ばれて色々なところで使用されている。例えば容器の外から中の円盤をまわして内部の液体を攪拌する等に利用されている。
これを利用すれば容器に穴を開ることなく中の液体を攪拌することができる。
うず電流とは電気をよく通すアルミ板などの上で磁石を動かし磁力線を変化させると板にうず電流が流れ磁石の動きを妨げる方向に磁場が出来き流れた電流は熱に変わる。
磁石を動かす代わりに電磁石で磁力線を変化させているのがIH調理器でやはり渦電流を利用している。
IH調理器は電気を通すアルミの鍋などを置くと発熱するが電気を通さない土鍋などでは発熱しない。
今回は次の図のようなものを作っていた。
アルミは鉄板と違い磁石につかないし加工がしやすいという理由で真ん中の仕切り版を2mm厚のアルミ板で作った。
作成した装置
写真はネオジム磁石を4個接着剤で貼り付けた透明な円いプラスチック板とその下にあるのがアルミの板
作った小さな装置はモータで磁石の付いた円盤を回して数ミリほど離したところに置いた同じく磁石の付いた円盤を回転させその先についたスクリューで水の中を進むものです。
モーターと反対側のスクリューの付いた回転部分を取り外し、手で回転させると回すのを止めても惰性で少しの間くるくる回り続けている。
しかし、アルミ板を付けて回してみると回すのを止めたとたんにブレーキをかけたように急にスッと止まるのでおかしいことに気が付いた。
原因はアルミ板に渦(うず)電流が発生して磁石の動きを妨げていたからだ。
アルミは磁石にくっつかないが電気をよく流す導電体であることをコロッと忘れていた。
この装置は強力なネオジム磁石を使いアルミ板とすれすれまで接近させて高速で動かして(回転させて)いるので、強い・近い・速い、の全てを満たして大きな渦電流が流れていた訳だ。ということでアルミ板から厚手のプラスチック板に変更することにした。
少し渦電流のことを書いてみます。
渦電流の実験動画
渦電流はアルミ板とネオジム磁石に限った事ではないが、今回の事例に合わせてアルミ板とネオジム磁石の図を作ってみた。
次の図のようにアルミ板に磁石のN極を近づけて右方向へ移動した場合を考えてみる。
右に移動するのでN極から出たアルミ板を貫く磁力線は右側では磁石が近づいてくるので磁束の密度が増え、左側では磁石が遠ざかるので密度は減ります。
移動する磁石の下付近では密度が変化するのでフレミングの左手の法則に従った方向に電流が流れます。
手前の方向に流れた電流は渦のように流れて元に戻ります。進行方向では反時計回りの渦電流によりN極が出来て磁石を押し返そうとし、後ろでは時計回りの渦電流によりS極が出来て磁石を引き戻そうとする力が働いて磁石の運動を妨害する力が働くことになる。
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