阪堺電車は大阪市と堺市の浜寺公園を結ぶ路面電車だ。
現在は大阪市の天王寺駅前と堺市の浜寺公園の間および大阪市浪速区の恵美須町から住吉区の我孫子道を結んでいる。
2つの路線は住吉大社の北の角に差し掛かったあたりで交わり、住吉~我孫子道間は同じ線路上を走っており乗換指定駅の我孫子道で追加料金なしで乗り換える事ができる。
浜寺公園から乗ればそのまま天王寺まで運んでくれる。恵美須町方面に行きたければ大和川を渡った最初の停留所の我孫子道が乗換指定駅になっている。
今では肩身の狭い路面電車だが、子供のころは路面電車が幅を利か せており大阪市内も縦横無尽に市電が走っていた。
大阪駅の前にも市電が沢山停まっていたのを覚えている。
確か大阪市電を廃止する時に取りに行けば石畳として使っていた四角い敷石を何枚でも無料でくれるとの事だった。
阪堺電車は小学生のころ堺市の浜寺海水浴場の一角にある浜寺水連学校に大阪から通うため利用した。 ちなみに水泳パンツではなく男子全員が白いふんどしをする決まりであった。
現在は海水浴場は無くなり大きなプールだけになっているが、当時はまだ海水はきれいで足で砂を探ると子供でも大きな白い貝がたくさんとれた。
阪堺電車も以前は車掌さんがいて前に大きなガマ口の様な鞄を下げ揺れ る車内でパチンパチンとハサミで薄い紙の切符に穴をあけていた。
車掌さんが紐を引っ張り「チンチン」と合図をしていたがワンマンになった今でも「チンチン」と音がする時がある。
線路は堺市内に入ると綾ノ町から御陵前まで幅約50mの大道筋(だいどうすじ)の真ん中を車と並んで走る。堺の空襲で焼け野原になった後、防災の為に拡幅された広い通りだ。
なぜか懐かしい昔ながら住吉の停留所
写真では見にくいが、線路はこの先右と左に分かれていく
春になると線路と車道を隔てる植え込みのつつじが咲き揃う。
今年、平成28年1月に住吉公園駅が廃止されたが、普段は見向きもされない駅がカメラマンで溢れかえっていた。しばらくの間はあちこちでカメラを構える人を見かけたが最近は写真を撮っている物好きは私ぐらいなものか。
平成28年6月30日現在、住吉公園駅はどうなっているのか気になり久しぶりに訪ねてみた。
右から始まる「駅園公吉住」と書かれた懐かしい駅舎がまだある。
南海本線「住吉大社前」の隣にある駅舎を宝くじ売り場、一杯飲み屋さんを横目で見ながら進むと
駐車場になっており線路も撤去されている。
入口の左手には「ちん電」のプリクラが置いてあった。
近年、阪堺電車は色々と工事が行われており「石津北停留所」が新設された他、「宿院停留所」が改装されてきれいになっている。知らない間に「霞町停留所」が「新今宮駅前停留所」に名称が変わっているようだ。
今のところ日本で一番高い阿倍野ハルカスの有る天王寺駅前停留所の出入口は細い階段で地下街とつながっており、道路を横断して地上から乗車することはできない。しかし工事が行われており少し北側に作られている新しい停留所へは歩道橋から降りるようになりそうだ。
運転手さんは親切で高齢者が戸惑ったり間違えても丁寧に対応している。
休日や通勤通学など非常に込み合う時間帯もあるがほとんど立つことは無い。御多分に漏れず経営は苦しいのでしょうが、かわいく、ど派手な「ちんちん電車」として続いてくれることを願っている。出来るだけ利用させてもらおう。