極短雑学
目次(健康・化学)
■炭素は社交的
他の原子との親和性が高い炭素原子が無ければ私たちの周りに見える殆どの物は存在しません。

■たんぱく質
タンパク質は、主に炭素と水素で作られ、さら窒素と酸素、および硫黄が加わってできている有機化合物です。・・・実はそんなことはなく、なかには何の道具もなく肉眼で実際に見ることのできる分子があります。

■ビタミン、ミネラルって何?
ビタミンもミネラルも人が成長し生きていく為に絶対に必要な微量の栄養素です。
ビタミンは有機化合物、ミネラルは無機物・・・いわゆる5大栄養素と呼ばれているものです。

■元素と原子はどう違う
「元素」の数は118種類、「原子」の数は3,000種類。・・・「ジャポニウム」、「ウンウントリウム」、「ニホニウム」と理化学研究所が命名権を獲得した新元素の発見で話題に・・・





極 短 雑 学 (健 康)
活性酸素
平成29年6月29日
この記事は約5分で読めます。
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活性酸素ってどんな酸素
近年、活性酸素は老化や色々な病気の原因になる悪者として嫌われ者になっています。
体の錆をくいとめる作用があると多くの健康食品や健康器具が宣伝されていますが、「酸化」、「活性酸素」が体に良くないのは分ったが、そもそも「活性酸素」とは何なのかと疑問に思われている方は是非お読みください。

敵を知ることでより的確な対策を選択することが出来ます。

1. 酸化とは
1. 皆さんがよくご存じの通り酸化とは 「酸化」は物質が酸素と結び付く事です。

さらに高校生になると、電子を奪われる事(電子を他に与える事)、酸・塩基の反応も含めて水素を奪われる事(水素を他に与える事)、「還元」はその反対と習われたと思いますがもうすっかり忘れていますよね。


「酸化」のまとめ
1.酸素と結合する事
2.水素を奪われる事
3.電子を奪われる事


2. 活性酸素とは (原子の構造)
昔、学校で習った原子の構造も活性酸素を正確に知るには必要です。
簡単に説明しますので、ぜひお付き合いいただき昔の記憶を呼び戻してください。

原子の中心には原子核(陽子と中性子)が有り、その周りを陽子と同じ数の電子がまわっています。

 

電子の回る殻は中心に近い方からK殻、L殻、M殻・・と続き、それぞれの殻には電子が入る指定席の数が2個、8個、18個・・・と決まっています。

最外殻の指定席が全部埋まった原子や、最外殻の電子が8個の原子は「ヘリウム」、「ネオン」、「アルゴン」などで安定して他の物質と反応しにくく、これらは希ガスと呼ばれています。

( 酸素原子・分子の構造)
酸素の原子構造は下図のようになります。

酸素原子は図のように8個の電子を持ち最外殻のL殻に対(ペア)にならない不対電子が2個存在します。



なぜ不対電子2個でペアに成れないのでしょうか?

人間世界もいろいろと小難しい決まりがありますが電子の世界にもいろいろと決まりが有るようです。

最外殻のL殻には電子が2個入り電子対(ペア)になる箱が4個あります。

一番外側のL殻には電子がペアで入る箱4個があるので箱が全て埋まり満席の状態では8個の電子が入る事が出来ます。

この2個入る箱には順番に1個づつ電子が埋められていき全部の箱に1個の電子が入り終わった後に2個目が各箱を埋めていきます。したがって一個の箱が空で、他の箱に2個電子が入る事通常は有りません。

L殻に6個の電子を持つ酸素原子はペアにならない箱が2個あるので不対電子を2個持つ事になります。

気体では酸素原子は単独で存在はせず2個の原子が互いの不対電子を共有して共有結合した酸素分子として存在します。酸素分子の状態では下図のように2個の不対電子(図の灰色の電子)を持ちます。



酸素は分子の状態では安定していますが、不対電子を持つため環境により周りから電子を奪おうとする性質も有ります。

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 活 性 酸 素
前段が長くなりましたが強力な酸化力を持つと説明されている「活性酸素」を紹介します。
一般に次の4種類が「活性酸素」と呼ばれています。

1.スーパーオキシドアニオン
(スーパーオキシド)

2個の不対電子を持つ酸素分子が1個の電子をとりこんだもの。

過酸化水素以外の活性酸素は不安定なため互いに電子を奪い合い短時間で変化するが連鎖的に電子を奪い合うため全体として長時間存在している事となる。


2.過酸化水素(H₂O₂)
 
過酸化水素は不対電子を持たないが酸化力が強く鉄イオンによりさらに活性力の高いヒドロキシルラジカル(・OH)に変化する。


3.ヒドロキシルラジカル(・OH)

活性酸素の中では最も活発で強酸化力を持っている。 


4.一重項酸素

一つの電子が他方の原子の電子軌道に入り込んだ結果、不対電子は無くなったが、空になった電子軌道が他から電子を奪おうとするため強い酸化力を持つ。 


この4種類以外に「一酸化窒素」、「二酸化窒素」、「ベルオキシナイトライト」、「次亜塩素酸」なども含め活性酸素と呼ぶ場合も有ります。

活性酸素はどうしてできる
活性酸素は紫外線や電子線の照射、化学反応によ発生しますが、体内でも一定量発生します。

細胞内や血液中ではイオン化し複雑な反応を繰り返しますが、細胞内に取り込まれた酸素はミトコンドリアによる複雑な化学反応により最終的に水などに変化します。

水へ変化する酸素分子は最終的に4個の電子を受け取り2個の水分子に変化します、その過程で1、2、3個の電子を受け取った不安定で酸化力の強い活性酸素が発生してしまいます。

白血球も侵入した細菌などを殺すために活性酸素を作りますが、作られた活性酸素は菌に作用するだけでなく周りの組織もむしばみ必ず炎症を起こります。

人には活性酸素の攻撃から身を守るためにSODと呼ばれる酵素をはじめとして様々な酵素が備わっていますが御多分にもれず年齢と共に低下してくるようです。

活性酸素から体を守る
活性酸素対策のための情報は、食品やサプリメントなど沢山提供されています。

「酸化」のまとめを繰り返すと「酸化する」とは

1.酸素と結合する
2.水素を奪われる
3.電子を奪われる

という事です。

酸化を防止したり酸化したものを還元する為には、電子や水素を与えれば良い事になります。

では水素は大気中にどれくらい存在するのでしょうか。

大気中の窒素は体積比で78%ですが、水素はごく微量の0.00005%(0.5ppm)です。殆ど存在しません。

中学生の時に試験管の中の水素に点火して酸素と反応させ「ポンッ」と音を出した覚えがありますが、大気中に沢山の水素があれば、それはそれで安心して生活できません。

体内で水素は作れないと思っていましたが、腸内の嫌気性細菌の一部は水素を作っていると発表されています。

発生量は個人差が大きいそうですが、お腹の中ではメタンガスや水素など結構危険なものが作られています。

私たち個人が水素を体に取り入れる方法については、基本的には次の3つのタイプから選ぶことになります。

●水素を専用工場で水に溶け込ました「水素水」タイプ。
●水と反応して水素を出す粉末を「カプセル」などに入れたものを服用したりお風呂に入れるタイプ。
●電気分解により水素を発生させる装置を購入し家庭で水素を直接吸引したり水に溶け込ませて水素風呂、水素水を作るタイプ。

殆どこの3タイプですが、どのタイプも沢山の商品が販売されており選ぶのに苦労するほどです。

水素を体内に取得した効果については数々の論文や体験談が発表されていますが、理論的に活性酸素を減らすことは理解出来ても、巨大な化学工場を凝縮した体内のミクロの細胞や酵素がどのような処理を行っているのか、本当に効果があるのかは、まだまだ分らないようです。

メディアに踊らされて繰り返される数々の健康ブームのように一時的な「水素ブーム」で終わるのか、それとも効果があると解明されていくのか、もう少し時間が必要なようです。


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